何を隠そう、My first synthesizerがこれ。
新宿にあったクロサワ楽器で購入したMIDIなしのProphet-5。
時はすでに国産デジタルシンセサイザー全盛期、普通の若者ならシンセサイザー本体のグレードを少々落としてでもシーケンサーやらなんやら機材一式・・・ワークステーション型のシンセサイザーなんてのも流行っていた・・・を購入したりなんかするところなのだろうが、速弾き自慢だった若かりし関口君は「鍵盤が付いてるんだから自分で弾けば良いだけじゃん!」とかなんとか偉そうなことを言いながら、シンセサイザーの”音”そのもののクオリティに全てを注ぎ込んだのでありました。めでたしめでたし。
後に、新宿のイシバシ楽器で叩き売られていたTEACの4トラックカセットMTRにProphet-5を手弾きで録音するという、裕福なんだか貧乏なんだかよく分からない・・・風呂なし4畳半に住んでポルシェ乗ってるみたいな?・・・珍しい録音体験をしている。これが私のスタジオ原風景。
このProphet-5、確か19~20歳ぐらいの時に購入したと思うのだが、時期に関しては記憶がちょっとあやふや。
ただ、中古とは言え、かなりの高額商品だった為、自分名義ではローンが組めず、親名義でローンを組んでもらった様な気が・・・
当時、車の免許を取得すべく教習所に行い始めたばかりだったのだが、こちらの方が必要だと思い立ち、教習所に収めた料金を解約・返金(一部を除いて)してもらい、購入資金の一部に当てたという・・・
という訳で、いまだに免許を持っていない。
それはともかく、結構、故障が多かったりした個体なのだが、音の方はとても素晴らしい。
Prophet-5はもう一台(Rev3.3、MIDI付き)所有しているが、こちらの方が明らかに音が太い。
楽劇座のステージでも弾きまくっていました。
調子が悪い時なんか、パネルと鍵盤の間にドライバーを差し込みながら弾いたことも・・・何故かそうすると音が出たのだ。
一昨年の暮れにメンテナンスに出して復活。
ついでに、傷付いていたツマミの頭を交換してもらった。
メンテナンスをお願いしているsymplexの林さんから「傷付いているものだけを交換すると却って不自然なので、交換するなら全てやった方が良いですよ」とアドバイスを受け、海外から部品を取り寄せてもらい、全てのキャップを交換。
以来、「現役だぜ! 僕を見て!」と言わんばかりにツマミがキラッキラッしている(笑)
かなり新品感が出て良い感じです。
これだけ長い付き合いだと、もはや ”人生のパートナー” ”相棒”といった存在感すら醸し出している様に感じられてならない。
まあ、これが愛着というものでしょう。
MIDIが付いていないので、もちろん手弾きです!
最近はあまりありませんが、購入当初は弾く度によく鍵盤の鉄線を切っていました。
要するに、ピアノで言えばピアノ線を切ってしまう状態。
まあ、ちょっとした戦友です。
また一緒にステージに立ちたいものです。
ちなみに、音楽(ないしは技術)的な話を少しだけすると、ステージ、レコーディング問わず、常にRolandのステレオフランジャーSBF-325とデジタルディレイSDE-2000、ないしはYAMAHAアナログディレイ E-1005と一緒に使っております。定番、かつ、お約束のセットです。
せっかくなので、音色についても少し触れておくと、ファクトリープリセット12番にモジュレーションをかけたストリングスの音色は、私の中で「これに勝るもの無し」の1音です。楽劇座のステージでもよく使いました。速弾きしてディレイ音が追っかけてくるあの感じは、弾いていて最高に気持ちがいい。後はやっぱりポリモジュレーションを駆使した"ならでは"の音色は圧巻の一言です。
執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy