昭和の生活
明日から2週にわたってお送りする文化村サロンのテーマは『私たちの生活から失われゆくもの ~昭和の生活から現代を考える~』です!
ここ最近の・・・そう、いわば”自分自身のテーマ”として”昭和の生活”というものがある。
要するに自分が幼かった頃の街並みや生活への興味だ。ノスタルジーと言ってしまえばそれまでなのだが、単に”思い出に耽る”というよりは”如何に取り戻すか?”について真剣に考えているのだ。
例えばテレビドラマ、これなんかはちょっと象徴的。
個人的には石立鉄男の主演したホームコメディあたりが好みなのだが、最近はこの手の作品をすっかり見かけなくなった。
近頃のドラマはなんだか”流行り廃りが目まぐるしい若者向けのファッション雑誌(「モテ・ファッション」云々の安っぽいやつね)”みたいでなんだか味気ない。それにしても男女問わず出てくる人物のほとんどが綺麗すぎる。まあ、これは見た目の話。で、そういったタイプじゃない役者はどうかと言えば、とりあえず過剰な演技が求められる傾向にある様だ・・・力ずくで笑われることに尽力すれば”実力派”としてのポジションが与えられるのだとでも言うかの如く。まあ、総じてそんな風に見えてしまう。
「見た目が綺麗なの集めて何が悪い!」と言われそうだが、綺麗なのばかりずらりと並んでも・・・要するに、ビクトリア・シークレットのショーを観ても却って色気を感じないのと同じだ。
”色気”なり”美”などといったものは、その条件として”相対的”であることが結構大事だったりするものだ。
小学校の卒業アルバムなんかを見て、地味だったあの子が「結構、美少女じゃん!」とか、モテていたあの子が「あれ、こんなんだっけ?」なんてことはよくあることだ。要するに”日常”の中での”魅力”ないしは”ポジション(機能)”といったものは絵面とはまた別の次元にあるということであり、またそれこそが”日常”なのではないだろうか? まあ、そんな風に思うわけであります。
そうなると、昨今のドラマには”日常”がない・・・
それに対し、”昭和”のドラマ、特にその性質からホームドラマが分かりやすいと思うのだが、そうした作品は私たちのお茶の間(←こうした表現自体も既に・・・)の延長として存在(位置)していた様に思われるのだ。ここで言う”延長”というのは、”その先にある憧れ”という意味ではなく、字の如く”我々の日常と地続きにある世界”といった意味だ。
もちろん、「実際にはこんなことありえない!」といったシーンも多いのだが、そうした当時のコンプライアンスの緩さから来る”飛び道具的映像効果”や”時代の流行的要素”は別として、ドラマツルギー的に抑えておくべきところは抑えているというか・・・
和室(現在の我が家には無い)と炬燵(やはり、現在の我が家にはこれも無い)の役割なんかも生活様式の変化に多く関係しているとは思うのだが・・・この辺の話はまた別の機会に。
そうそう、”昭和のドラマ”と言えば、ちょっと視点を変えたお話を一つ。
石立ドラマといえば、個人的には冨士真奈美さんが好き。顔(美人度)だけで言えば最近でもなかなかお目にかからないレベルの美しさ。にも拘らず、ポジションは昨今の三枚目おじさん俳優ポジションという(笑)しかも、セリフのコントロールは昨今のベテラン俳優よりも遥かに優秀。今、こんな人現れたら最早”前衛”だね。
まあ、テレビドラマの話はさておき、兎にも角にも、失われた”日常”を如何に取り戻すのかが個人的なテーマだったりする訳です、ハイ。
で、スタジオに関する話も少々・・・
”日常”を考える上で”職業=仕事”、より具体的には”働き方”について考えない訳にはいかない。そして、昭和から平成、令和の”働き方”の変化を語る上で、”技術革新”というキーワード抜きに語ることは出来ない。
私自身の領域、研究対象でもある”芸術創造”ないしはそうした文脈での”もの創り”という観点から言えば、最も技術革新の影響を受けたのは”音楽の世界”では無いだろうか? この辺りを”録音技術”ひいては”スタジオの変遷”から紐解き、”日常”と”仕事(音楽の)=働き方”を考察してみるのは誠に興味深いのです。
それにしても・・・
昭和と現代、私たち一人一人の生活=ドラマは如何なる道を辿っているのか?
”便利”や”コンプライアンス”、”グローバリズム”といった”一見もっともらしい”口車に乗ったは良いが、気がつけば”語るべきドラマのない世界”なんてことも・・・
てな訳で・・・
明日の文化村サロンの大テーマは『私たちの生活から失われゆくもの ~昭和の生活から現代を考える~』となります。で、”TR−808の回(過去回”に関する質問が多かったので、上記大テーマの文脈で”日常と創造” ”働き方と技術革新”を『録音スタジオの変遷』を通して考えてみたいと思います。多分、時間的に2週にわたってお届けすることになると思われます。
では、明日もよろしくお願いいたします!
「文化村サロン」の詳細・ご入会はこちら!
こちらの内容は3月12日(日)20時〜の配信となります。
ご覧になりたい方は、3月12日19時までに下記のページよりお申込みください。どのコースでもご視聴いただけます。
生配信をご覧になれる方は、直接の質問も可能です!(ご予定が合わない方は、アーカイブ配信をご利用ください)
関連記事
【オンライン】クリエイティブ実践講座・個人レッスンのご案内
続きを見る
執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy