ものづくりの教科書 演劇小道具工房

【演劇小道具工房/第4回】ダイソーとセリアの100均ニスを徹底比較!同じようで全然違います

こんにちは、シンディこと大向しんじです。ここ『演劇小道具工房』ではお芝居で使える小道具のつくり方や、これまでに作ったアイテムたちなんかをご紹介します。

第4回は「ダイソーとセリア100均ニス比較」。って言っても同じ100円商品だし同等品でしょ? ……と思ったら大間違いです!

なにかと便利な100均塗料

木材の仕上げはもちろん、エイジング風の塗装にも役立つ水性ニス。最近は100円ショップでも複数色取り揃えて販売されています。

100円ショップの水性ニスはだいたい100mlくらいのミニボトルで販売されており(税抜・2022年11月執筆時)、使いやすい容量、管理しやすいサイズ感、リーズナブルな価格でとっても便利です。

個人的に一番嬉しいのはこのサイズ感! 半端に余らせてしまった場合でも使い切れる量ですし、別色が増えてもコンパクトに収納しやすいんですよね。

僕はダイソーのニスを使うことが多かったのですが、実は先日たまたまセリアのニスを同時に使う機会があったのです。「まぁ別メーカーとはいえ、そこまで大きな違いはないでしょ~♪」と、楽観的に封を切ったら……なんとびっくり!

<お値段100円、木部用、水性ニス、色はウォルナット>とスペック表記はほぼ同じこの2つのニスは使用感の全く違う塗料だったのです!

まずは仕上がりをご覧あれ

まずはこちらの仕上がりをご覧下さい。同じ木材をそれぞれのニスで2度塗りしたものです。

画像の左がダイソーのニス、右がセリアのニスで塗った木部です。

光の当り方も多少ありますが、セリアのニスの方が暗い色なのはおわかり頂けると思います。ダイソーのニスは木目がはっきり見える濃度ですね。

試しに目を閉じて塗装部分を触ってみましたが、感触に大きな違いはありません。強いて言えばセリアのニスの方が滑らかで、やや塗料の柔らかさを感じる触感、ダイソーのニスの方がよりナチュラルな木の質感に近い感触かな? という印象です。この辺は個人の感じ方にもよるところですね。ちなみにセリアもダイソーも取り扱っているのはツヤなしのニスなので、色の濃さに関わらず質感は両方ともマットになります。

さて、仕上がりを見てこの2つが異なる特徴を持ったニスであることはおわかり頂けたと思います。続いて、塗装中の様子を見てみましょう。

テクスチャの違い

まずこちらがダイソーのニス。

こちらがセリアのニスです。

おわかりいただけるでしょうか? この2つのニス、液体のテクスチャが全く違うんです!

例えるなら、ダイソーのニスが化粧水ならセリアのニスは乳液。ダイソーのニスがお醤油ならセリアのニスはとんかつソース。そのくらいの違いがあるんです!

それを考えると仕上がりの差もうなずけます。サラサラした液体のダイソーのニスは、塗装面に薄く伸びます。またハケで塗った後に木の繊維に染み込んでいく度合いも高いです。

一方とろみのあるセリアのニスはある程度の厚みを保って伸びるので、塗料の色が濃くなります。粘りがあるので木部に浸透しても表面にしっかり色が残ります。

パッケージ比較

最後にパッケージの情報を見てみましょう。

<ダイソー 水性ニス ウォールナット>

・価格:100円(+税)
・賞味量:100ml
・成分:合成樹脂(アクリル)、顔料、水
・用途:屋内 木部

・塗可能面積:約1㎡ or 畳 約0.6枚 (2回塗り)
・乾燥時間…60~120分 (20℃)
  ※塗り面積、乾燥時間はあくまで目安で用途・環境によって異なります。

・ボトルサイズ…高さ 約8.8cm × 径 約4.5cm
  ※セルフ計測なので多少の誤差はご容赦ください。

<セリア 水性ニス ウォールナット>

・価格:100円(+税)
・賞味量:80ml
・成分:水、合成樹脂(アクリル樹脂)、顔料
・用途:屋内 木部 工作用

・塗可能面積:約0.8㎡
・乾燥時間…夏季 30分~1時間 / 冬季 2~3時間
※塗り面積、乾燥時間はあくまで目安で用途・環境によって異なります。

・ボトルサイズ…高さ 約10.2cm × 径 約3.9cm
※セルフ計測なので多少の誤差はご容赦ください。

スペックとして非常によく似ていますが、正味量と塗布面積が違いますね。セリアの方が20mlほど少ない量になっています。

一方で同じ量で塗れる面積の目安はほぼ同等になっています。実際に塗ってみても塗料の伸び具合に大きな違いは感じませんでした。量あたりのパフォーマンスは同程度と思われます。

まとめと所感

質感も仕上がりも異なるので、一見同等品でも基本的には混在させない方が安心かもしれません。色自体は同系なので「ぜったいムリ!」とは言いませんが、試し塗りで質感を把握したうえでバランスを考えて塗り分ける……などの工夫が必要になると思います。

ダイソーのニスはセリアと比べると薄付きですが、ニスとしての機能(素材の保護や強化、表面のならし、質感の向上、着色など)に不足は感じませんでした。若干とはいえコストパフォーマンスも高いですしね。

薄付きは重ね塗りによる濃さの調整がしやすいということでもあるので、元の色や木目を活かした塗装やエイジング風の加工をする時にはダイソーニスの方が向いていると思います。サラサラした漿液性のテクスチャは、細かい物や凸凹した面にあえて塗りムラを残したい時なんかにも良いのではないでしょうか。

セリアのニスは厚付きで色濃くカバーしてくれるので、ニスとしての機能は申し分ないです。正直なところツヤなしニスとして優等生だなーと感じました。とろみのあるテクスチャはムラになりにくくて、個人的にとても扱いやすく感じました。広い面を塗る時や、塗装に慣れてない人には特におすすめです。

どちらもニスとしての基本的な役割はおさえつつ、その上で特徴があります。どちらも悪いということはなし。どちらがより良いかは目的次第、と言うことですね。

……ちなみに僕は、今ではどちらもリピート&常備しています。

最後にいちばん大切な事

と、話は変わりますがこちらの木枠をご覧下さい。僕が昔作ったキースタンドです。実はこの木枠を塗ったのもダイソーのニスなんですよ。

え? ダイソーのニスはツヤなしって言ってたのに、これにはツヤがある? それにこんな赤い色のニス、店頭で見たこと無いって?

そうなんです。実はこれを塗った「ツヤあり水性ニス マホガニー」は今では廃盤となっているのです。ちなみに200円商品で、内容量も200mlくらい(うろ覚え)と大き目サイズでした。それが特別な商品だったわけではなく、当時のダイソーの水性ニスはそれが標準のラインナップだったんですね。ちなみに僕のフェイバリット塗料でした。再販しないかなぁ……。

100均の商品は予兆なく入れ替えがあったり、内容面でリニューアルしたりすることがままあります。(言ってしまえばそれは100均の商品に限らないのですが)

ダイソーとセリアどころか、ダイソーの商品でも時期によってこれだけ物が違うのです。なので、塗装をする時は、端材や目立たない所での試し塗りがとっても大切なんです!

「なるほど、塗り心地はこんな感じね、乾いたらこうなるのね」というのが事前にわかっているだけで塗装の工程がスムーズになりますし、よりイメージ通りの仕上がりに寄せていくことが出来ますよ。

塗装の前には試し塗り! 今回の記事で一番お伝えしたいのはそれです。

小道具作家のみんな! お約束だよ!

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参考:ダイソーセリア
執筆:大向しんじ
(c)Rrose Sélavy

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