こんにちは、シンディこと大向しんじです。ここ『演劇小道具工房』ではお芝居で使える小道具のつくり方や、これまでに作ったアイテムたちなんかをご紹介します。
第6回のテーマは前回・前々回に引き続きニスについて! 「ダイソーとセリアの100均ニス 全カラー比較」をお届けです。
100均ニス、全色比べてみました
前々回はダイソーとセリアの100均ニスから「ウォールナット」カラー同士の比較、そして前回はニスのさまざまな「色名」を由来となっている木材に照らし合わせて解説しました。
ひとくちに木工用ニスと言っても、単純に茶色というだけでなく様々な色があるということ、そして同じ木の色名がついた商品でも色にも質感にも幅があるということを実感しました。
……そうなるとですね。「ウォルナット」同士を比較したダイソーとセリアの100均ニスの、他の色も気になってきませんか?
好奇心が刺激されたら止められないのは小道具作家の性というものです。
現在(2022年12月)ダイソーの木工用水性ニスは
・ウォールナット
・チーク
・メープル
・けやき
の4色が展開されています。(半透明の「乳白色」はほぼ無色なので今回は除外)
一方セリアの木工用水性ニスは
・ウォールナット
・メープル
・ライトオーク
の3色が展開されています。
今回はそれらを一気に比較してみましょう!
ダイソーとセリア、メーカーごとの傾向
全ての色を塗布してみた感想ですが、メーカーごとの特徴は第4回でウォルナットの比較をした時とほとんど同じでした。
・テクスチャ:ダイソーはサラサラ、セリアはトロトロ。
・発色:ダイソーは薄め、セリアは濃いめ。
・容量:ダイソーが100ml、セリアが80ml。(ただし量あたりの塗布面積の目安はほぼ同じ)
あとウォルナットで比較した時には言及していなかったのですが、セリアのニスと比べてダイソーのニスは乾く前後で色の変化が大きい傾向にあると思いました。
画像で見るとわかりやすいのですが、ダイソーのニスは全体的に乾く前の色がうっすら「灰むらさきミルク色」がかってる感じなんです。(なんだそのブルベに合いそうな色)
液体塗料は大なり小なり乾燥の前後で多少の色変化はあるものですが、ダイソーのニスは明らかに違う色というレベルなので試し塗りなどで色の見極めをする際はしっかり乾燥させるよう注意して下さいね。
あと匂いはどちらもほとんどありません。顔を近づければわかる程度の匂いで「強いて言うならダイソーの方がやや強いかも? 」くらいですね。水性ニスなのでシンナーなど溶剤系の匂いではなく、図工の時間に使った絵の具のような匂いです。成分的にはほぼアクリル絵の具ですしね。
とはいえ匂いはどうしても主観的な感想になりますし、耐性も個人差があります。基本的に塗装中は換気をよくして作業しましょう。
ダイソーのニス4種
それでは続いて、ダイソーのニス4種を並べてみましょう。ウォールナット、チーク、メープル、けやきの4色です。
ウォールナットは彩度が低く暗い焦げ茶、チークは僅かにオレンジよりのニュートラルな茶、メープルはより赤~オレンジの強い茶、けやきはイエロー寄りの明るい茶となっています。
4色の枠の中でもバリエーションを持たせて、使いやすい色が幅広くおさえられているという印象です。
セリアのニス3種
続いてセリアのニス。ウォールナット、メープル、ライトオークの3色です。
ウォールナットはやはり彩度の低い暗めの焦げ茶、メープルはやや赤みがかった柔らかい茶、ライトオークはイエローの強い明るい茶です。塗布している板には全て焼き印で文字が入っているのですが、その透け具合を見るとダイソーのニスより濃く色が乗りやすいのがわかります。
ダイソーとセリアでは色数も色名も異なりますが色の範囲は、<低彩度の暗いブラウン>~<オレンジ系中間ブラウン>~<イエロー系明るいブラウン>、と似た分布になっています。やっぱり使いやすい色というのは共通なんでしょうか。
ダイソーとセリア あわせて7種
最後に、ダイソーとセリアのニスを全部合わせて並べてみましょう。
ウォルナットは色みの差が少ない分、ダイソーとセリアの差がわかりやすいですね。ダイソーの方が色が薄く、2度塗りがセリアの1度塗りと同じくらいの濃さです。また塗りムラも、セリアの方が目立たないですね。
メープルはダイソーとセリアで(色の濃さを差し引いても)印象がだいぶ異なります。ダイソーのメープルは特に赤が強く、セリアはニュートラルなブラウンです。
セリアのメープルは、ダイソーのメープルとチークのちょうど中間くらいの色みですね。実際の色で見るとむしろややチーク寄りかもしれません。
ダイソーのチークはより赤みの薄いのブラウンです。ニュートラルな茶色という点でセリアのメープルに近いですが、より落ち着いた色ですね。
イエロー系はダイソーはけやき、セリアはライトオークです。並べるとほんのりセリアのライトオークの方が暖色が強い印象です。けやきの方も塗り重ねることで色は深くなりますが、暖かみはそれほど強くなりません。
まとめ
こうしてみると「同じ色名でも全然違うじゃん! なに? テキトーに名前つけてるの!? 」と思われるかもしれませんが、そんなあなたはぜひ前回の「色名解説」の記事と照らし合わせてみて下さい!
色名解説はこちら!
【演劇小道具工房/第5回】ウォルナットって何の色?知らない色はどう調べる?ニスの色名徹底解説
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今回ご紹介した各色、異なる色でもそれぞれの名前のキャパシティ内で、矛盾が無いことがお分かり頂けると思います。
そして、
・彩度の低いダークブラウン
・ニュートラルなブラウン(ダイソーはここをさらに分化)
・イエロー寄りのライトブラウン
と、ダイソーもセリアも使いやすい色はしっかりとカバーした布陣で揃えてくれているということもわかりました。
『塗装の前には試し塗り!』……という合言葉に変わりはありませんが、塗料選びは迷子になりがち。今回の記事があなたの道を示すのヒントになりますように!
基本の比較はこちら!
【演劇小道具工房/第4回】ダイソーとセリアの100均ニスを徹底比較!同じようで全然違います
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