Roland VP-330 (Vocoder plus)の後期型です。
一般的にはYMOの ”TOKIO!” の声(音?)で有名なアレです。
入力した声がロボットボイスになります。 もう少し説明すると、接続されたマイクに向かって歌いながら鍵盤を弾くと、歌が弾いた鍵盤の音程で出力されます。要するに、滅茶苦茶な音程で歌を歌ったしても、鍵盤でドレミファソラシドと弾けば、出てくる音程はドレミファソラシドになっているという代物。
元々、ラック版のSVC-350を所有していたのだが、やはり鍵盤付きモデルはマストアイテム。
話はちょっと横道にそれるが、一時期、Oberheimを所有していた。
先ず、渋谷の店でOB-Xを購入したものの初期不良。そんなこんなで色々あって、最終的には同じくOberheimのExpanderに交換してもらう。黄色のフライトケース付き。黒いマジックで ”chikada”と手書きあり。店の人に聞いたところによると「近田春夫さんが使ってたものですよ。ご本人から購入しました」の由。本当かどうかは知らないけれども、兎に角そういう事らしい。
ところが、このExpanderもイマイチ調子が良く無い。体質的にOberheimは合わないのだろうか?などと思ってしまうぐらい相性が悪い。とか言いつつ、今度出る新作OB-X8には興味があったりして・・・。
まあ、そんなこんなで、上記とは別の楽器店(高田馬場界隈)で、このexpanderと交換の形で手に入れたのがこのVP-330。
ちなみに、このVP-330を手に入れたことで、SVC-350を下取りに出して手に入れたのが、同じくRolandの同シリーズSBF-325(ステレオフランジャー)という次第である。
実はこのVP-330も、音楽作品のレコーディングで使用した記憶がない。
だが、楽劇座のステージではやはり定番の機材。
「ルーシー・フラワーズ〜」では3~4曲で使用。特に最後の「魔法の呪文」では弾きまくり(歌いまくり?)といったぐらいの活躍具合。
それにしても、今どきこんなにヴィンテージシンセを弾きまくるステージはあるのだろうか? うちのお客さんは基本、お芝居の観客なので、Prophet-5もARP ODYSSEYもVP-330も知らないとは思うのだが、知っている人が観たらどう思ったのだろう?
ヴィンテージ・シンセサイザー好きにこそ観て欲しかったなあ・・・もし、再開する日が来れば是非。
近々、レコーディングでも思いっきり使ってみようかと思っている。
そうそう、近日公開予定『配信版ルーシーフラワーズ〜』での”ポスト夫人”の声はこのVP-330を使用。最初はARP2600に声(セリフ)を突っ込んでスターウォーズのR2D2みたいなことをやろうかとも思ったのだが、マイク側のプラグとARP2600入力側の規格が合わなかった(変換プラグが手元になかった)ので結局、VP-330を使用。さらにProToolsでフランジャーかけたり、SSLのUC-1でイコライザーいじったりなんかして、かなり加工しているけど。
これも昨年、symplexの林さんのところでメンテナンス済み。折れていた鍵盤を新しいものに取り替えてもらい、ガリも改善。
ちなみに、ストリングス系やボイス系の音源なんかも搭載されていて、ストリングスアンサンブルキーボード的な使い方もできる。これにコンパクトエフェクターのフェイザーなんかかけた日には、かなりいい感じの70年代チックな音(質感)になります。
執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy