Music ライフスタイル 文化村スタジオ 連載

Pollard Syndrum 〜文化村スタジオの仲間たち⑥〜

左が、ヨハン・シュトラウス2世もビックリな、我が憧れの”美しく青きSyndrum” 。右は”グリーンに中央黒円”タイプ。

ええと、これは2011年、楽劇座のホール公演(新宿文化センター)に際して購入しました。

本当は4個セットタイプのものをヤフオクで落札したかったのだが、最後の方で恐ろしい値段になっていたので断念。

そんな折、偶然入った新大久保界隈の中古楽器店で”とてもお安く”見つけたので迷わず購入。

半分の2個とは言え、上記ヤフオクの”8分の1”程度の金額で入手できました。

このsyndrum、音自体はピンクレディーなんかのヒット曲で耳にしていたものの、初めて認識したのはymoのパンフレット。

小学生の頃に母に連れて行ってもらった、ymo武道館公演(80年のワールドツアー)のパンフレットに載っていた高橋幸宏さんの紹介ページで、その青く美しいシンセドラムを発見したのだ。

その頃、日曜日になると、友達と一緒に秋葉原のローランドショールームに通っていたのだが、ついでにラオックス楽器館に立ち寄るのがいつものコース。お目当てはもちろんシンセサイザー 。minimoogの実物を初めて見たのも確かここだったと思う。近くにホーナーのクラビネットD6かなんか置いてあった様な。で、そのラオックスの何階かは流石に失念したが、エスカレーターを上がったところ(もしかしたら、下がったところ?)に日本製シンセドラム、アルトサウンドが置いてあった。そんな訳で、こちらはよく触ったりなんかもしたのだけれど、Syndrumの実物は未だ見たことがなかった。そうなると、より自分の中でsyndrumが伝説化して行く。

それから2~3年ぐらい経った頃だろうか? すでに時代はシモンズ期を迎えていた。Syndrumなどの旧石器時代?のシンセドラムを使っているミュージシャンも見かけなくなって久しいとある夕暮れ、学校の友達と大島渚監督「戦場のメリークリスマス」を新宿に観に行ったのだが、その帰り道、当然、道路を挟んで反対側にあった「イシバシ楽器新宿店に立ち寄ってから帰ろう!」ということになった訳だが、なんと、そこでSyndrumの実物と初めてご対面したのであった。

要するにデットストックの叩き売り。本体1個にパッド1個が付属したモデル(現在所有しているものと同モデル)。確か3万5千円だった様に思う。

店内の蛍光灯に照らされたパッドの青色がなんとも美しかったことを昨日のことの様に覚えている。

欲しくてしょうがなかった。次の日の理科実験室での授業では「Syndrumを手に入れたら、どんな生活が待っているのだろうか?」 について、頭の中で様々なシミュレーションが繰り返されたのであった。

親に相談してみるが、当然、買ってもらえる訳もなく・・・ああ、悲しい!

それから数十年の月日を得て手に入れたのがこのSyndrumという訳なのだ。

楽劇座では、『マカロンちゃんの憂鬱』でのキャラメルちゃんが唄を詠む(長ゼリフ)シーンの冒頭、”バーンっ”と鳴っていたあの破裂音、私がこのSyndrumを叩いていた音です。あれ、タイミングが意外と難しいのですよ。シーズンが始まった当初は、齋藤蓉子と幾度もリハーサルを繰り返しました。

実はこの数年、2台とも壊れて音が出なくなっていたのだ。で、これも一昨年、symplexの林さんのところでメンテナンスをしてもらった。音の方はすぐ出る様になったのだが、どうしてもガリが取れない箇所があったので、一部フェーダーを交換してもらった。それが黒色フェーダーの箇所。グレーのフェーダーが手に入らないということだったので黒色の同一品に交換。

今後レコーディングでも積極的に使って行く予定。

現在、音楽配信版「ルーシー・フラワーズ〜」各楽曲の追加ダビング&リマスタリングを行なっているのだが、そこでも使ってみようかと思っている。

何れにせよ、これにしか出せない音があるというのは素晴らしい! いい音です!

ところで、少年時代、理科実験室で妄想していた関口君に一言、「syndrum買っても、それほど生活変わらなかったよ。これから変わるかもしれないけど・・・」

執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy

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