最近、『ルーシー・フラワーズ〜』公演の記録映像を見返している。
というのも、オンライン公演の限定特典映像として日替わりで数本UPしようかと考えているのだ。
オンライン公演の場合、どうしても動きに制約があってしまうので、『ルーシー〜』独自のあの激しい動きは難しい。
だから、初めて『ルーシー〜』をご覧になる方にも、舞台版『ルーシー〜』の本来の世界観を知った上でオンライン版を楽しんで頂きたいというのが意図。
この特典映像、技術的にクリアしなければならない問題もあるので、まだ正式決定では無いけれども、是非実現したいところだ。
もちろん、記録映像として実際の公演を録画していただけのモノなので、一点固定カメラ、かつ、音声もカメラ内の音声のみの状態。 まあ、大体の様子は分かるし、何より音楽が全て収録されている。
見返していて面白かったのは、日によって音楽が違うのだ。
もちろん、セットリスト自体は同公演内に関しては同じなのだが、私の生演奏部分(音色やフレーズ)や曲全体のイコライザー処理、他の音(効果音等)と曲のMIXが前日と次の日では異なるのだ。
これって? そう、DJのやっていることに近かったりする。
もちろん、当時、そうしたことは意識していなかったものの、結果的にそういった趣になっている。
厳密に言えば、リズムマシンやシンセサイザーを並べてプレイしているDJのそれ。そこに”手弾きパート”が増えた感じ? まあ、そんな感じ。
だから、毎公演の”音(曲の)が違う”のだ。しかも”その日の演技”に対応?していたりするのが面白い。
まあ、自分自身でプレイしているのは確かなのだが、数百公演、それも千公演近くやっていた訳で、自分でもその一回一回までは覚えていない。
だから、今となっては客観的に楽しめるのだ。
Prophet-5の音色の選び方も面白い。十代の女の子がゲスト出演する時なんかは”音が柔らかかったり”もするのだが、男性ゲストが女性役を演じたりする”異様な雰囲気”の回?では音色も”過激で輪郭のハッキリした音色”になったりしている。全く同じフレーズでも音色によってかなり違う曲の様に感じる。しかも”弾き方”自体も音色によって変えているので、曲自体のニュアンスまで変わってくる。
またライブでは、録音版ではレコーディングされていないボコーダーの音も頻繁に登場する。
会場の私のブースには、Prophet-5やVP-330、Syndrum、KaossPadなんかがセッティングされていたので、音のバリエーションには事欠かない。
そうそう、雑誌や演劇サイトなんかには”ミュージカル”とか”2.5次元ミュージカル”といった冠で紹介されていることが多い『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』だが、正確には”テクノポップ・ミュージカル”といった冠を付けた方が良いだろう。
実際、曲(特に編曲)自体、かつ、音色的にも”テクノポップ”だったりする。内容的にも、某画家先生に「これぞ、サブカルチャーの極み!」とお褒め?の言葉を頂戴した事があったっけ・・・まあ、その辺りも”テクノポップ”と親和性が高い所以ではあろう。
だから、日比谷界隈の”いわゆるミュージカル”だと思って観に来られると困ってしまったりすることも(笑)
かと言って、いわゆる最近の”テクノ”とも違う。”DJ”という言葉と”テクノ”という言葉が出てくると”デトロイトテクノ”的なものを想像される方もおいでかと思われるが、それともまた違う。”テクノポップ” ないしは”テクノ歌謡”と言った方がより正確だろう。
多分、実際の公演に来られた方は”演劇鑑賞側”のお客さんが殆どだった筈だが、”テクノ系”なんかが好きな”音楽鑑賞側”のお客さんにも来て頂きたかったなあ・・・と、今更ながら思う。
まあ、そういった方面の方には特に”特典映像のアーカイブ”を楽しんで頂きたい・・・と、現在、作業中。なんとかこの特典映像、実現させたいものだ。実は、出演者すらまだ観たことがない映像が山の様にあるのだ・・・そもそも私自身、基本は見返していないし(笑)
ちなみに、記録映像は5公演程度を除き、毎公演必ず録画していたので、なんと1000本!近くの映像が残されている。ルーシーだけでも数百本!
執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy