Music 文化村スタジオ 連載

配線問題を考えると、そこには・・・悩ましきかな? 機材の配置と創造性。

これは、ちょっと前のスタジオの写真。
今とは若干配置が異なっているし、写りきらなかった機材もまだあったり・・・いずれにしろ、通常以上に”地震対策”を考えるのもご理解頂けることだろう。

実は、最近流行のマシンライブみたいなことをやってみたいのだが、現状、スタジオの配線が複雑過ぎて、一旦バラしてしまうとまた繋ぎ直すというのが至難の技でして・・・

まあ、まだ各種録音作業も残っているので、配線をバラす勇気がない。

政府だったり・会社だったり・劇団だったり・学校だったり、まあ、何でもいいんだけど、規模が大きくなってしまうと身動きが取りにくくなってしまう。要するに、小回りが利かなくなるのだ。

まあ、私のスタジオなんてのは、それらに比べれば遥かに小さなものだが、それにしても”気軽に”やり直すには、些か所帯が大き過ぎるのだ・・・一回バラすと、配線し直すだけで一日潰してしまう。

モノが増えると身動きが取れなくなる・・・単にスペースが狭くなるから”動ける場所が限られてしまう”という意味もあるが、それぞれに配慮(気を配る)することで”身動きが取れなくなる”という意味の方がより問題は深刻だ。

モノを多く所有するということは、却って創造性を失いかねないという危険性を常に潜んでいる。

まあ、私の場合は、”機材の後ろに回れるスペース”さえ確保できれば解決する部分も大きいのだが・・・ただ、問題は2点。

① 家、ないしは部屋の広さが限られている。

② 地震を考えると、壁から離して機材を配置する勇気がない。

①は他のモノを捨てれば解決するのだが、本や譜面、レコード、CD、グランドピアノ、机、先祖代々のタンス、自分や曾祖父さんの原稿etc.どれもこれも捨てられない。それに捨てたところで②の問題が残っている。実際、3.11の時にミキサーの上に3Uのラックが落ちてきて破損したり、カオスパッドが部屋の隅から隅まで対角線上を飛んだり(箱に入っていたので無事だった)したので・・・。近々、そう遠くない将来、必ず巨大地震が起きると言われているこの日本で、「大丈夫でしょ?」で済ませるだけの勇気?は持ち合わせていない。だから結局、毎回必ずと言っていいほど”壁を上手いこと利用した配置”に落ち着いてしまう・・・だって、そりゃそうでしょ? Prophet-5やMiniMoogが真っ二つに折れた姿を想像しただけでも気が狂いそうに・・・

という訳で、”現状維持”が続いてしまう。でも、慎重なのは良いんだけど、これはこれで人生を無駄にしている様な気がするんだよなあ。

大小、2~3台の機材でやり繰りしていた頃が懐かしい。

最近、”重さが軽く”て”お安い”機材に妙に魅かれるのは、そういったストレスの影響かも知れない。

機材の配置一つで人生まで考えることになるとは・・・でもそういうことなのですよ、きっと。

”生きるということ=人間の創造性” にとって一番大切なのは ”質素” ということかも知れない。

”ストレス”、ないしは”悩み”の類は、人間を破滅に追い込むか? 悟りに向かわせるか?

いずれにしろ、私たちは ”前に進むしかない” ということですな。

執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy

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