皆様こんにちは! 楽劇座の五條なつきです。
楽劇座のオンライン公演『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』……コロナ禍の影響で公演が中止になり、オンラインで実施することになり、いつもの舞台とは勝手の違う撮影や編集に追われています。
実はキャストとして出演するほかにも、映像演出を担当している私。
「せっかくなら映像でしかできない表現を!」と、テロップやイラストのアニメーションを入れたり、せっかくなら楽曲シーンも凝りたいと思い立ち……
当初、映像の編集がこんなに時間がかかるものだとは思っていませんでした。
「公開はまだなの?」とお問合せくださるお客様、お待たせしてしまい大変申し訳ありません。
今、担当スタッフみんなで最終段階の音声の調整を頑張っているところなので、詳細公開までもう少しお待ちくださいませ!
そしてせっかくなので、編集に関する途中経過も日誌として書いてみることにしました。
公開までの間に読んでいただくと、実際の公演を観るときの楽しみが増えるかもしれません!?
第1回をCHECK
【オンライン公演「ルーシー・フラワーズ」編集日誌1】映像だから八の字眉幸子を増殖させてみました
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今回、編集で1番苦労したのはどこかと聞かれれば、「タイミングを合わせてキャストの映像を合成すること」だと思います。
・相手のセリフのタイミングに合わせて自分のセリフを言う
・誰かが話している時にセリフのないキャストはその内容に合わせて動く
なんて、生の舞台では当たり前のことがリモートだとうまくできないんです。
なぜかと言うと、通信だと時差が生まれてしまうから。いわゆるレイテンシーです。
同時に演技しているつもりでも、通信の影響でセリフや動きは遅れて相手に伝わってしまう。そうすると、相手はさらに遅れて反応をして……の繰り返しです。
この辺りは以前、純さんも記事に書かれていましたね。
演劇の構造と、遠隔収録におけるレイテンシーの問題について
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しかも、均等に遅れてくれれば最終的に帳尻が合うのですが、そうもいかないんですよね。なぜか一部だけやたら遅くなったり、かと思うとそれを取り戻すかのように一瞬だけすごく早くなったり。
ちなみにルー(五條なつき)とシー(齋藤蓉子)は長年ルーシーを一緒に演じていて、体がタイミングを覚えています。なので、ちょっと相手が遅れると「これは相手が遅れてるんじゃなくて、通信が遅れてるんだ……!」とお互いに気がついて、わざとちょっと早めにセリフを言ったり……少しでもレイテンシーをなくそうと試行錯誤を重ねていました。
それでもリモートだと、演技をぴったりのタイミングで録画することは難しい。
『ルーシー・フラワーズ』はその構造上、タイミングが命の作品なので、通信の影響で生まれてしまったズレを編集でできるだけ自然に埋めることにものすごく苦労しました。
時には生まれてしまった間をカットしたり、動きの都合上カットするとどうしても不自然になってしまうところは音やイラストの演出を重ねたりと工夫して、できるだけ「ルーシーらしい」タイミングやテンポに近づけるようにしています。
オンライン公演をご覧になる際には、そのあたりの「タイミングの工夫」も感じていただけると嬉しいです。
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執筆・撮影:五條なつき
(c)Rrose Sélavy