こんにちは、『ルーシー・フラワーズ』でアリスママ役を演じている大向しんじです。
『ルーシー・フラワーズ』シリーズには沢山の魅力があります。キャラクターや世界観をビジュアル的に掘り下げる衣装もそのひとつ。
この連載ではひとりひとりの衣装に注目して、その見所を紹介していきましょう。
まずはこの人! ルーシーフラワーズの名物キャラクター、八の字眉幸子(演:大西佐依)さんです!
原点!頂点?有頂天!元祖クライアント!
僕はルーシーフラワーズの衣装の中でもこの八の字眉幸子さんのお衣装が特に大好きなんですよ~!
結い上げられた髪型。ゆったりしたブラウスとボリュームのあるスカートをオーバーコルセットで締めたスタイル。そして抜け感のあるお足元……。
ルーシーフラワーズは歴史物ではないので衣装の時代考証を論ずるのはナンセンスかもしれませんが(マッチ売りとインターネットが同時に存在する世界ですからね)幸子さんの衣装はなんとなく19世紀のテイストが多く盛られていると思います。
髷にして頭の上に持っていく髪型は19世紀前半の流行りですし、コルセットは生地の柄や刺繍も込みでヴィクトリアン風です。
ルーやシーの衣装もクラシカルですが、こうして改めて細部を見ると幸子さんはルーシーたちより古い時代の香りがするデザイン。
言い換えるならば幸子さんは、より「童話の時代」に近いコーディネートなんです!
『ルーシー・フラワーズ』のおはなしでは毎回、悩みを抱えたゲスト(多くの場合は童話の登場人物)がルーシーたちの元へ相談にやって来ます。
実はそもそもこの八の字眉幸子さんは一番最初の相談者なんですね。(ちなみに初登場時は「トッテン・トット夫人」という名前でした)
言わば幸子さんは、その後に数多童話世界からやってくるゲストたちの原点とも言える存在なわけです。
注目ポイント! 八の字眉幸子のワードローブ
そんな八の字眉幸子さんの衣装を見ていくと、素朴で純朴(良く言えば)な彼女に合わせて強い色みを抑えつつ、バランスよくボリュームが盛られたデザインです。
ゆったりした小花柄のブラウス。袖はふんわりしていますが軽めの柔らかい素材。
手首が見える袖丈なのも幸子さんらしい抜け感で好きなんですよね~。演じる佐依さんご自身の手首や指の細さと相まって良バランスです。
あと幸子さんはお足元がとってもキュートなんですよ!
つまさきの丸いヒールパンプスにソックスを3枚(!)重ねて履いているんですが、なんと外側のソックスをわざとかかとの方まで捲ってずり下げているんです!
もうルーズソックスってレベルじゃあないです!
それでも幸子さんが涙目でガクガク震えながら小鹿になるシーン(※実際にあったシーンです)なんかで、ふらつく足取りと共にこのお足元がチラ見えすると、悲壮感とも愛らしさとも言い難い何かを感じたりします。
アップの髪型やロングスカートなど大人びたパーツも多い幸子さんの衣装ですが、スカートに隠れがちな足元は靴も含めて実はとっても少女的なんです。
その辺りもなんとなく幸子さんの内に秘めたものを感じますね(あまり秘めてない気もしますが)。
実際にご覧になった事のある方はわかると思うのですが八の字眉幸子さんは表情のパワーがもの凄い役なので、なかなか足元には目が行き難いと思います。
でもそんなあまり注目されない所がひときわ可愛らしいのも、幸子さんらしい素敵な所だな、とも僕は思うのです。
さて、そんな語れば語るほど面白い幸子さんのお衣装ですが、実はまだ僕のイチオシポイントをご紹介できておりません。
それがどこだかおわかりでしょうか?
続きは次回『後編』にて。ご期待ください!
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執筆:大向しんじ
(c)Rrose Sélavy
後編はこちら
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