舞台の小道具やインテリア。ツルツルのプラスチックや紙が、石のような雰囲気のある質感になればいいのに……と思ったことはありませんか?
実は、ちょっとした塗装のテクニックで簡単に実現できます。
『演劇小道具工房』第19回は 塗装で石の質感を出す方法をお届け。石だけでなく金属風やエイジング加工にも応用できるので、インテリアのリメイクなどにもおすすめです!
石の質感を表現するには?
本日は塗装で石っぽい質感を出す方法をご紹介です!
こちらのゴブレットをご覧下さい。
実はこれ、元の素材はプラスチックなんです。
でも塗装後には石のように見えますね。
ポイントは表面のテクスチャです! よく見ると元のプラスチックに比べて、表面に小さな凸凹がありザラザラとしています。さて、この質感はどうすれば出るんでしょう?
有機石灰を混ぜています
実は塗料に「有機石灰」を混ぜているんです! スーパーやホームセンター、100円ショップなどの園芸コーナーで取り扱っています。塗料が渇くと石灰の粒が表面に浮き出て、ザラッとした質感に仕上がるわけです。
園芸用の石灰にも種類があり、「苦土石灰」を使うこともあります。ざっくり言うと含まれる成分が異なるのですが、今は土壌調整が目的ではないのでどちらを選んでも大丈夫です。品物によって粒の荒さが異なるのでお好みの物を選んで下さい。
ちなみに水に反応して発熱するのは「生石灰」。ニュースなどで聴いたことがある方もいると思いますが、火災の原因になることもあります。最近は園芸コーナーで扱われることはほとんどありませんが、間違えないようにして下さいね。
塗料について
今回使った塗料はアクリル絵の具ですが大抵の水性塗料で応用できます。特にアクリル系塗料(水性ニスやミルクペイントなど、成分表示に「アクリル樹脂」とある塗料)ならどれでも使える手法です。
塗料の種類について強いて言うなら、とろみがある方が石灰を絡めて塗りやすいです。もし使う塗料がサラサラした液体の場合は、濃いめに希釈した造形ベースやジェッソなどの下地材に混ぜて使うと良いですよ。
混ぜる量は特に決まりはありません。ただし大きな力や摩擦が加わる小道具の場合、粒が多かったり大きかったりすると多少剥がれやすくなることもあります。求める質感、石灰の粒の大きさ、混ぜる塗料の水分量などによって適量は変わるので、様子を見ながら混ぜましょう。
質感を確認しやすいパレットの様なもの(僕は紙皿をよく使います)に塗料を出して混ぜるのがおススメです。
石以外の表現にもおすすめ!
この石灰を混ぜた質感は、石のほかにも金属など鉱物全般の表現と相性が良いです。
そのほかにも「塵の堆積」や「風化」といった経年の表現にも応用できるので、アンティーク系、インダストリアル系の塗装にもおすすめですよ!
もちろん小道具づくりだけでなくインテリアのリメイクなどにも使えます。
身近な物のリメイクは質感がアップすると目にするたびに気持ちも上がりますのでぜひ試してみて下さいね!
参考:ダイソー 有機石灰、リキテックス Liquitex ジェッソ
執筆:大向しんじ
(c)Rrose Sélavy