[読]エッセイ・対談

【クリエイター対談】アクセサリー作家<Juvelia(ジュベリア)>×舞台女優<五條なつき>/中編

『創る』ことに関わるお仕事をされている方の考え方・姿勢・創作の方法を知りたい!

今回は舞台女優&美容研究家として幅広く活躍する五條なつきさんが、オンラインショップをメインにしながら三越銀座や有楽町マルイなどでPOPUPを開催するなど精力的に作品を創り続けているアクセサリー作家Juvelia(ジュベリア)さんと「好きなもの×創作」について語り合います。

キラキラの可愛いアクセサリーはどうやって生み出されるの?

アクセサリー作りと舞台づくりの共通点とは?

好きなことを仕事にして続けていくためのヒントも満載です。

今回は<中編>をお届けします。

前編から読む

【クリエイター対談】アクセサリー作家<Juvelia(ジュベリア)>×舞台女優<五條なつき>/前編

続きを見る

続・創作と生活

五條:ジュベリアさんはお子さんもいらっしゃいますけど、そうなるとお仕事との両立で大変なところもありますよね?

ジュベリア:その年代ごとの問題点ってあると思うんですけど、今(※現在、お子さんは小学生)はだいぶやりやすくなりました。私の場合はつわりの時と乳幼児期が大変でしたね。つわりのときは立てない時期もあって、いつになったら動けるようになるんだろうとか。保育園入るまでは、夜中の12時〜3時ぐらいまでの間になんとかこう、布団から出て……でも泣くんですよ、30分とか1時間に1回ぐらい。その度に布団に戻って寝かして、起こさないように抜け出して。でも、何時まで作業できるっていうのがなかったので大変でした。保育園に入ってからは「この時間だけは絶対に確保できる」っていうのがわかるのでだいぶ楽になりましたね。成長したらまた受験のサポートがいるとか、その時はわからないですけど

五條:創る人にとって、時間が確保できないっていうのは辛いですよね

ジュベリア:そうなんですよ。しかも創る人って、創作の優先順位を高くして生きてきたと思うんですよね。だから自分以外の事情で、10分20分が確保できないっていうのは生まれて初めてに近くてどうしようもない……みたいな。つわりはいつ治まるかもわからないから、出産するまで終わらないのかなとか。先が見えなくて、もう努力ができない(笑)

五條:確かにそうですよね……自分だけの問題だったら徹夜したり、どうにか頑張れるけど、つわりとか夜泣きだともうどうしようもないし終わる時間も見えないし……

ジュベリア:初産だと夜泣きがいつまで続くのかなとか、もう全くわからなくて

五條:それどうやって乗り越えたんですか?もう無理矢理スキマ時間に……?

ジュベリア:もうホントにスキマ時間に無理矢理でした。1番根性見せてた時は夜中の2時ぐらいにようやく抜け出したのに、ケースを開ける時の「カチッ」って言う音で子供の目が覚めて泣かれるみたいな

五條:ツラい……!

ジュベリア:1時間もかけて寝かしつけたのにと思うと、こっちが泣きたくなって……でも本当にJuveliaの灯を消さないというか、インスタもやってたけど、どうにかやめずになんとか、なんとか続けてっていう感じですね。妊娠・出産するまで自分の体質や子供のタイプもわからないし

五條:そうですよね。つわりも重い方から軽い方までいらっしゃいますし、個人差がありますもんね

灯を消さずに続けてきた

ジュベリア:それこそ子供に障害があるとか、私が後遺症で動けなくなる可能性だってある。何にもわからないなと。でも、もし私が仕事をする人生だったら、多分続けていけるんじゃないかなと、そう思いながらなんとかやってましたね。もちろんそうじゃない違う生き方の方がどう……っていう話ではなくて。自分の人生で初めて自分で決められないことが出てきた。だから自分の人生の大本は決まってて、もう乗っかるしかないんだろうなって……ただ、その中でできる努力はするとしか言えないみたいな

五條:お話お伺いしてると、ジュベリアさんは、たぶん本当に創るのがお好きなんですよね、きっと。演劇の場合で言うと、新人さんの中には、いつまでたっても「セリフが覚えられなくて〜」って方も多くて……最初はそれでもいいんですけど、そこからなんとかしようと努力もせず、ずっとその状態のままって方も結構いらっしゃいます。たぶんその方は、演劇の華やかな部分だけ観て憧れいるだけで、"創る"ことが好きなわけではないのかなと。創ることって大変なので、単に華やかな出口だけ見て憧れだけで入ると「こんなに大変だと思わなかった!」ってなっちゃうんじゃないかな。でもジュベリアさんはそんなに大変な時期でもなんとか創ろうとしてたってことは、きっともう生活することとか、生きることと創ること、自分でいることが繋がってるんじゃないかなと思うんですけど

ジュべリア:ハンドメイドにしろネイルにしろ「やってみたい」「憧れてる」って言われることはあるけど、でも「なんか大変そう」とか「できないよね〜」とか、よく言われるんです。でもこれに関しては、やれって言ってもやらない人はやらないし、やるなって言ってもやる人はやっちゃうから、「気がついたらやってました」みたいな人じゃないとそもそも続かないかなと。その後の環境の変化によって続けられるかどうかは変わってくることはありますけど、もう最初の段階の"自分自身でどうにかできる部分"で「う〜ん」ってなるんだったら……(笑)もちろんやってみて向いてるか向いてないかわかってくるわけですけど

五條:そうですよね。最初の一歩とか、ちょっと大変なところを乗り越えて「まだ訳わからないけどやっちゃう!」「失敗するけどやっちゃう!」ってなる方か、「憧れはあるけど……」で止まっちゃってる方かの差は大きい気がします

ジュベリア:これはなんの違いなんだろうなって、私もたまに思うことがありますね

五條:なんなんでしょうね……個人的には、そんなに憧れてるならとりあえずやってみて、向いてるか向いてないか、続けるか続けないか判断すればいいのに!と思っちゃうんですけど

ジュベリア:考えすぎて止まっちゃうのかな。私は別に失敗しても死なないしな〜とか思っちゃうんですけど

五條:まずは趣味の範囲で、とりあえずやってみちゃえばいいのに

ジュベリア:考えて考えて、結局動いてない……みたいな人、結構いますよね

五條:演劇の世界だと、すごく不思議なのは、せっかく劇団や事務所に入ったのに、A4の紙1枚のレッスン課題を覚えられない……みたいな方が結構いらっしゃるんです。もしかしたら本人としては努力してるのかもしれないですけど、覚えられないなら今と違う方法を試すとか、何かあるんじゃない?と思っちゃうんですけど(笑)それを乗り越えてスタートラインに立つ人と、いつまでもそこで止まっちゃう人が……なぜかどうしてもいらっしゃるんですよね

ジュベリア:なんでしょうね……その辺のマインドは、自分の場合『りぼん』全盛期があったなと思います。もともとガッツがあるタイプだったとは思うんですが、そこと漫画が共鳴したというか。でも読者はたくさんいたとけど、その中でも共鳴する人としない人がいるわけで、ある程度は大本で決まってるのかなという気がしますね。それで動くか動かないか……もちろん、すごくショックな出来事があって変わってしまったっていう場合はあると思うんですけど。行動は……Twitterとかで「もうやってるやん!はやっ!」って言われることがよくあるんですけど(笑)、自分自身はそんなに早くないと思ってることも多々あるんですよ。ただ、思えば中高生ぐらいからずっと早いって言われてきたなって

五條:Twitter拝見してると、ジュベリアさん、キャンペーンの告知とかめちゃくちゃ早いですよね。この前思いついたって呟いてたこと、もうやってる! って(笑)

ジュベリア:でもそれは、親から「専門学校行っていいよ」って許可をもらったらもう2週間後には高校生だけど他県のネイルスクールに行きはじめたりとか、ネイルサロンで独立するときも、職場を辞めて2週間で完成させたり

五條:やっぱりスピーディーですね

ジュベリア:やってみてよかったって思った経験が多いから、行動することの方がコスパがいいってことに気づいたんですよね。悩んでる時間のぶん、さっさとやった方がいいし。だって今までのやったやらないの話でも、やった時点で成功確率がめちゃめちゃ上がってるし、プラスやり続けたらたぶん勝てると思ってるんで。だからそもそもセリフを覚えない人がいるなら、たぶん私ならA45枚ぐらいそのキャラクターについて書いてみてやろうぐらいの気持ちはある(笑)

五條:それは私も思います。もしかしたら、クリエイターとか創る人にとっては……もちろん考えるタイプの方もいらっしゃるんですけど、とりあえずやってみるっていうのは、まず必要なことのひとつな気がします

ジュベリア:少なくとも、まず表に見えてる人ってやってない人がひとりもいないんですよね、たぶん。そこで成功と失敗が多少あって、続けてるか続けてないかの差があって……一握りの人がなんとなくやってたみたいに見えてるんですけど、やってなくて表に出てきた人いないんじゃないですかね

五條:やらないと何事も始まらないですもんね。そもそも自分に合ってるか合ってないかもやってみないとわからないじゃないですか

ジュベリア:そうそう

五條:特に今ってネットがすごいから、みんな最終的な1番いいところしか見てないと思うんですよ。インスタだったら最高の瞬間を切り取った写真、役者だったら舞台やテレビで活躍してるところ、youtubeだったらyoutuberさんが編集した動画……最後の出口のところしか目に触れないと思うんですけど、実際にやってみないとわからない大変さとか苦労ってあるじゃないですか。ジュベリアさんだったらボックス作るのにどれだけ時間かかるの?とか、役者だったらセリフ覚えるのだけでも苦労するし、youtuberさんだったら実際に撮影して編集するのも結構大変だよっていう……何がどう大変なのかって、まず実際にやってみないとわからない

ジュベリア:成功と失敗じゃなくて、そもそも成功するまでずっとやってるから失敗したことがないと思ってるんですけど

五條:かっこいい!

ジュベリア:諦めてないから(笑)そもそも成功と心配じゃなくて、成功と”学び”ぐらいに思ってる。失敗じゃなくて「こうしたらこうなるんだ」って言う学びになったとしか思ってないから、そもそも失敗を恐れてる人の気持ちがよくわからなくて(笑)別に誰も見てない、失敗なんて。80歳になってもずっと言われてるとかないから

五條:意外とそうなんですね。自分が思ってるほど他人って自分に興味ないんですよね(笑)

ジュベリア:うんうん

五條:とくにスタートしたばっかりのジャンルのことなんて、誰も見てない(笑)だから、もし興味があることに踏み出せないって方がいたら、とりあえず踏み出して判断したら?って思いますね

ジュベリア:できたら正しい方向での努力をして、その上で打席に立つ回数が10回でも20回でも多い方がいいのかなって思ってるので、ちょっと失敗とか言ってる暇はないですね。それをメモして、また次やるしかない(笑)

創作の楽しさ、苦しさ

五條:2022年末ぐらいから、ジュベリアさんの勢いがすごかったですよね。キャンペーンやって、すぐPOPUPやって、またすぐPOPUPがあって、でまたPOPUPがあって……(笑)もうずっと走り続けていらっしゃったような

POP UP の様子

ジュベリア:もう他人のスケジュールのような気持ちです(笑)でも他人のスケジュールって本人ほどよくわからないというか……私も終わってみて「本当にあのスケジュールをやってたのか?」と

五條:私で言うと、舞台の本番前から本番にかけてと同じだと思うんですけど。「あれやらなくちゃ、これ準備しなきゃ、ここセリフ変わったから覚えなきゃ……」って、朝から夜中までぎゅうぎゅうで、後から振り返ると結構すごいスケジュールだったなと思うんですけど、やってる時って必死なのか夢中なのか、大変だと思う暇もなくやるだけ!っていう状態になりますよね

ジュベリア:なんか後から伏線回収じゃないですけど、その時は気づかなかったけど「あの人と会うためにこれやってたんだな」とか「こういうタイミングでするためには、なるほどな〜」って思うことが多いから、何かあるんだろうなっていうのも思ってますね

五條:それは楽しい瞬間ですよね。ジュベリアさんは創作してて、楽しいとか苦しいとか思うことってありますか?

ジュベリア:苦しいって思うことはあんまりないんですよね〜……あるかな?(笑)楽しい時だと、アイデアが浮かんだ時とか、形になった時とか、それを手にとってくれた人がいた時とか、それは楽しいんですけど。もしかしたら商品が売れなかったら……こう言うとおこがましいかもしれないんですけど、今までネイル含め売れなかった経験もあまりなくて……ただ、もし売れなかったとしても、さっきの話の学びになるので、何が悪かったのかとか、こうしたら売れるんじゃないかとか考えるモードにしかならないし、欲しいと思ってもらえるまでやるだけですね。まぁ、過集中になっちゃって1日全く椅子から動かないとかはありますけど(笑)

五條:作業してると動かなくなっちゃうのはわかります

ジュベリア:だから「後からこれしよう」はダメなんですよ。終わる瞬間まで動かないから。今日は少しくらい歩こうと思ってても、気づいたら座ったまま8時間経ってて200歩しか動いてないとかはちょっと苦しいですかね(笑)五條さんは苦しい時あります?

五條:私はセリフを覚える時ですね。アクセサリー作家さんで言うと出店期間が決まってるPOPUPとかも同じかもしれないんですけど、演劇だと本番が決まっていてそれに向かってお稽古とかのスケジュールが組まれるんです。私、コロナ前は月に1回公演に出演していて、毎回公演時間が2時間ぐらいあるんですよ。それで私は長台詞が多かったので、A4の紙ほぼ1枚分が自分のセリフとかもあって……。毎月公演があるので、他の準備とかも結構忙しいですし、お稽古の時間はどうしても新人さんが中心になっていくので、自分のお稽古時間は最低限なんですよね。そうなると台本を渡されたときに逆算して、だいたい3、4日から長くても1週間ぐらいで台本を離して演技できるぐらい覚えなきゃっていうのがあったので……私はそのセリフ覚え期間だけがすごい苦しくて(笑)もともと覚えるのが苦手だったので、そういう苦手な作業に対する苦しさはあります

ジュベリア:なるほど

五條:ただ、やっていくうちに気づいたことがあって。私、演劇をスタートした頃はセリフ覚えをそれこそ義務というか、受験勉強みたいに思ってたんですよ。暗記して詰め込まなきゃ!みたいに。でも、途中から自分のセリフが増えたり、公演の回数が増えたりすると「それじゃあ間に合わない!」ってなってきて。公演やセリフが少ないときだったら、まずセリフを覚えて、そこから考えて、稽古しながらゆっくり創っていけば……って思ってたんですけど、セリフや公演回数が増えると、そんなにゆっくりやってたら絶対間に合わないんです。それで途中から、もうセリフ覚えをしながら台本の構造をチェックしたりとか、この役どんな役かなって研究したりとか。作品理解や演技プランの組み立てをやりながら同時にセリフを覚えるやり方にチェンジしたんです。

ジュベリア:うんうん

五條:これは回数を重ねたからこそできるようになったとは思うんですけど、「このセリフはこういう言い方をしたら伝わるかな」とか「ここでこう動けば効果的かな?」っていうのを考えながら覚えるようにしたら……まぁ、すごくラクになったとは言えないんですけど(笑)、ちょっとラクになりました。たぶん単なる"作業"から、ちょっと"創造的"な覚え方になったからだと思うんですけど

ジュベリア:セリフ覚えの過程を楽しめるようになったってことですよね

五條:そうですね。実際に「このセリフこう言ったら面白いかな、こう動いてみようかな」っていう表現のやり方を考えながら覚える方が、暗記のスピードも「絶対に暗記しなきゃ!」ってただ焦っていた時よりも早くなりました


後編を読む

【クリエイター対談】アクセサリー作家<Juvelia(ジュベリア)>×舞台女優<五條なつき>/後編

続きを見る

参考リンク:Juvelia
撮影:Juvelia/Rrose Sélavy
執筆:編集部
(c)Rrose Sélavy

Information

大好評配信中!

ルーシー・フラワーズ 1stシングル「MÄRCHEN」 各種ストリーミングサービスにて 大好評配信中!

詳しくはコチラ

オンラインで専門家から学べる講座

子役・女優・俳優活動の疑問は、プロに相談して解決! オーディション対策のための個人レッスン&相談から、徹底的に芸能の基礎が学べる講座まで、多彩なメニューをご用意しております。

詳しくはコチラ