皆様、こんにちは! 舞台女優の五條なつきと申します。
さて、皆様は「舞台女優」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?
・舞台の上でライトを浴びている
・なんとなく華やかそう
・舞台メイクが濃い
などなど、いろんなイメージがあるかと思いますが、実際の舞台女優は思いのほか地味に過ごしています。(もちろん人によるかと思いますが、少なくとも私の場合は!)
というのも、お稽古や本番の日は夜遅くなるので、遊んでいる暇はほとんどありません。
体調管理が第一で喉を痛めたくないので、真夏以外はマスクをして過ごしています。(コロナ禍前からそうでした。中には喉を守るために寝る時もマスクをしているという役者さんもいます!)
舞台ではメイクをしっかりする分、いつもはお肌を休ませるために、デイリーメイクは意外とナチュラルです。
そして華やかな舞台のヘアメイクは専属のメイクさんにやってもらうと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は舞台役者は自分で舞台メイクをします。
劇場の大きさや作品の規模に関わらず、それが当たり前。
たとえ新人でも、初めての舞台でも、現場に入ってしまえば「自分のメイクは自分でできて当然」とみなされるのです。
なので、役者は自分でメイクを研究するしかありません。
どうすれば演じる役のキャラクターをメイクで表現できるのか、どうすれば照明があたる舞台上で動き回っても崩れないメイクに仕上がるのか、どうすれば自分がキレイに見えるのか……ぜ〜んぶ自分で研究して、自分の手を動かして試行錯誤しながらメイクしていきます。
実は私、もともと日常生活でのメイクはテキトーなタイプ。高校生までは田舎で過ごしていたので、周りの同級生もギャル系の子以外はメイクしていない子がほとんどでした。
そのまま大人になってしまったので、メイクは礼儀としてやっておくもの、日焼けを防ぐためにやっておくものぐらいに思っていたのです。
ところが、舞台に立つとなると「テキトーにメイクする」ことは許されません。パッと出てきた時に「どんなキャラクターか」がお客様に伝わらないといけないので、メイクも真剣に研究するようになりました。
そうするとだんだん楽しくなってくるんです。「ハイライトをこう入れれば顔が立体的に見える」「今日のメイク、なんか小顔になれたかも!」とわかってくると、舞台に立つ時だけでなく毎日メイクにもそのテクニックを応用するようになりました。だんだんとコスメも大好きになって、集めるように……。
さらに舞台以外でも人前に出る機会が増えると、「少しでもキレイになりたい!」と土台をつくるためのスキンケアも頑張りたくなってきます。
ところが哀しいかな、舞台女優は生活が不規則なのです。
美容のための情報を集めると「早寝早起きして、お肌のゴールデンタイムにはしっかり睡眠をとりましょう」なんて書いてあるけれど、お稽古や本番で夜遅くなるので早寝早起きなんて不可能。
「ストレスは美肌の大敵!」と言われたって、セリフが覚えられなくてイライラすることもしょっちゅうですし(私だけじゃないはず!)、「高価な美容液を使って、エステに通ったら信じられないぐらいの美肌になれました!」なんて体験談を語られても、新人のころはバイトと舞台を掛け持ちしていたので時間もお金も全然ありません。
美容にいい、健康的な生活なんて夢のまた夢。
高価なコスメやスキンケアも使えない……。
美容的には絶望的な環境でしたが、それでも「時短で効果が出る方法はないか」「安くていいコスメやスキンケアはないか」と探し求め続けてきました。
このことが、有難いことに、今現在「美容研究家」としてメイク術やコスメレビューの記事を執筆させていただいていることにつながっているのだと思います。
さて、この連載【舞台女優の美容術】では、時間もお金もない中で研究してきた美容術をどんどんお伝えしていこうと思っています。
今は本当に忙しい人が多いですし、「プチプラで優秀なコスメを知りたい!」という方も多いはず。
時間がかからず真似しやすいもの、毎日のメイクにも役立つアイテム紹介や、美容コラムを、私がこれまで試してきて「よかった!」と本当に実感できたことを中心に書き綴っていくので、多忙でゆっくりスキンケアをしている時間がない、不規則な生活で美容にいい暮らしなんて無理、メイク初心者で何からスタートしたらいいかわからない……なんて方に届くと嬉しいです。
無理のない範囲で、スキンケアやコスメを一緒に楽しんでいきましょう!
執筆・撮影:五條なつき
(c)Rrose Sélavy