麦の悟り 〜悲しいまでの昭和男児、その愛について そう、それは受け入れるものではない。受け入れてもらうものなのだ!〜
焼酎を愉しむようになったのはいつからだろう?
正直なところ、20代の頃はむしろ嫌いだった。よく「どんなお酒が好き?」などと聞かれると「焼酎以外ならなんでも!」と答えていたぐらいだから推して知るべしだろう。
ところがいつの日にか芋焼酎をロックで飲んでいる自分がいたりするものだからあら不思議。食の好みの変化については以前も書いたが、酒にもそうしたものがあるのかも知れない。実際、仕事が一段落した小休止、少し解放された状態で見たくもないテレビをつけての“ちょいと遅めの夕食”なんてときに味わう“冷えた筑前煮に芋焼酎のロック”なんて組み合わせは間違いなく至福のひと時を運んでくれる。
と、まあ、さっきから「芋焼酎、芋焼酎」と連呼しているわけだが、実は私、麦焼酎よりも芋焼酎の方が好みだったりするのだ。これは真実。
だが今回、「そろそろ麦焼酎も試してみようではないか」などと思い立ったところ、ちょうど編集部に届いたのが「本格麦焼酎 うかぜ」という次第である。
なになに・・・ほう、焼き鳥とのマリアージュとな? お湯割りだと甘芳ばしさと麦の甘味が鶏の油と焼いた時の芳ばしさに合うだと?!
本格麦焼酎×焼き鳥
実はちょうどお取り寄せしていた“焼き鳥”があるのですよ。これホントに偶然。「そんなバカな! コラム書くためのヤラセだろ?」などという声が聞こえてきそうだが、この焼き鳥は我が家の定番、いわゆる“楽天お取り寄せ”です。
こうなったら試してみるしかないじゃないですか! “甘く芳ばしい”お湯割りとやらを。まあ、もし謳い文句ほどじゃなければ黒霧島(困った時の黒霧島!)にでもご登場いただけば良いだけの話だし。
というわけで早速 “うかぜ” のお湯割りと焼き鳥とのマリアージュを試すことにしましたとさ。
で、結論からお話しすると、とても良い感じです! 想像していたよりもこれが遥かに美味しい。ちなみにまず試したのは、“うかぜ2”に対して“お湯8”の薄めのお湯割り。お湯は当然、南部鉄器を使用してのそれ。
胸肉には京都から取り寄せた柚子七味をかけて試してみる。これがまた“うかぜのお湯割り”と相性抜群! これはもしや?と思い立ち、テーブルの上に柚子七味、一味、七味、山椒など、焼き鳥と相性の良さそうな香辛料を並べてみた。ちなみに私は香辛料を食べるため?に食事をすると言っても過言ではないぐらいこの手の香辛料を愛して止まない。もはや“うかぜのお湯割り”との相性を確認するための実験室と化した食卓。
で、どんな実験を行ったかといえば、串に刺さる肉の一つ一つに上に挙げた全ての香辛料を対応させ、“うかぜのお湯割り”との相性を試してみた。まあ、先にも書いたように胸肉に関しては“柚子七味”ということだが、その他に関しては、一番良いと思った組み合わせを以下にご報告させていただこう。
もも肉には一味唐辛子一択。
つくねは七味唐辛子も可。だがやはり一味!
はらみにも一味!
とまあ、一味をかけておけば間違いないかなと。
今回、個人的な収穫として一味の存在価値を確認できたことは大きい。根が貧乏性な私は、正直、今まであまり一味の存在意義を理解していなかったことをここで告白しておこうと思う。だって七味の方がお得感あるじゃないですか!七つの味ですよ!もう、字面からしてコッチでしょ!とまあ、舌切り雀のお婆さんの如き強欲さでもって一味を軽んじていたのは間違いない。これは猛省に値するという気づきを得た。
まあ、それもこれも“うかぜのお湯割り”のおかげということで、焼き鳥と“うかぜのお湯割り”の相性は間違いないことを確認。
ちなみに、焼き鳥と“うかぜ”のマリアージュ実験が佳境にに入った頃には2対8だった筈の比率は3対7、4対6と“うかぜ”%が上昇を見せ、すっかり良い気持ちになってしまった。こうなるとチェイサー代わりに“うかぜのお茶わり(アイス)”を試すなど、気づけばボトルの半分近くを空けてしまっていた。
“うかぜ”の魅力、少なくとも“うかぜのお湯割り”と焼き鳥(たれ)との関係においては、ヤンチャな男をその愛情で見守り、優しく受け入れてくれる、そんないにしえのスポ根漫画に登場するヒロインのような焼酎のように感じました。
あっ、そうそう、チェイサー代わり?に戴いた“うかぜのお茶わり(アイス)”ですが、缶に入ったアルコール分の高〜い&甘〜いお酒が好きな御人には健康志向を持つきっかけとしてもオススメです。
これは“うかぜ”に限った話ではありませんが、チョコレートと焼酎ってのもありですぜ。
結論、“うかぜ”は私の中で “爽やかに受け入れてくれる酒” として我が神棚、もとい酒棚の仲間入りを果たしましたとさ。めでたしめでたし。
本格麦焼酎 うかぜ
今回のお酒は濵田酒造株式会社「本格麦焼酎 うかぜ」(1800ml瓶:2195円/900ml瓶:1166円)。
甘芳ばしさが特徴で、水割り・お湯割り・お茶割りなど、さまざまな愉しみかたができるお酒です。
関口 純/音楽家&劇作・演出家
大衆社会という名の戦場で、その“住処”を鉄壁の要塞と化すことに情熱を注ぎ、かつ、“一人呑み”という名の作戦会議において“食”という名の世界地図を広げることを以ってして戦士の休息とする文士、またある時はミューズの女神に色目をつかいながらもバッカスの宮殿で音楽を奏でる宮廷楽士を下野して地上に舞い降りた吟遊詩人。
芸術を生業とする一家に生まれ、幼少よりピアノ、作曲、演出などを学ぶ。その後、日本テレビ音楽(株)サウンドプロデューサー、楽劇座芸術監督、法政大学地域創造システム研究所特任研究員など。音楽から演劇、果ては研究活動に至るまで「止まれば死ぬ」を人生のコンセプトに“常に”吟遊詩人的人生の真っ最中。
※本文中の価格は希望小売価格・税込みです。
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