[食]日々のご褒美 お家酒場化計画 お酒・アルコール 連載

プロレタリアートの密やかな愉しみ 〜お仏蘭西なPARTYは如何?〜【おうち酒場化(酒バカ)計画#5】

編集部に『Picard(ピカール)』さんの冷凍食品が届いた。冷凍食品とは言っても侮るなかれ!冷凍は冷凍でもピカールはお仏蘭西製のそれ。

な〜んて、西洋コンプレックス丸出しの出だしで始まった今回の“おうち酒場化計画”な訳ですが、何故だか私の連想は、フランスの冷凍食品→マカロン→夕食会(ホームパーティー)→ルイス・ブニュエル監督の『ブルジョワジーの密やかな愉しみ』→リヒャルト・シュトラウス作曲『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』となったのですが、まあ、『ティル〜』はドイツということで、今回の仏蘭西連想的には、しりとりで言うところの「ん」にあたる故、除外。という訳で、事実上、最終的にはその一つ前、『ブルジョワジーの密やかな愉しみ』に行き着いたという次第であります。とはいえ、我が身を考えると、とてもブルジョワジーとは言い難く、せめてインテリゲンチャと言いたいところではあるのだが、これも若干(相当に?)怪しい(笑)という訳で、ここは素直にプロレタリアートに甘んじようと思うに至った訳であります、ハイ。

で、戦前・戦中・戦後初期(もしかすると、あと数年後には今が戦前かも知れませんがね)ならいざ知らず、実際のところ、私たち世代にはブルジョワジーとプロレタリアートってのも馴染みが薄い。だからこちらも些か古い言い回しではあるものの、実際のところ“庶民”ぐらいの表現が丁度良い(適度)かと思われるのであります。

では“庶民”とはなんぞや? “庶民”を辞書で引くと「特権を持たないもろもろの人」とある。

本当にそう? 

私の目には特権なきところの特権、すなわち“庶民”という名の特権を振り回す“えせ庶民”なる輩がコマーシャリズムに踊らされているのか?はたまたコマーシャリズムを踊らせているのか?そうした今一つよく分からない地平で、時に煽動しながら踊り狂うダンサーの如く映るのだが・・・

そう、“庶民”という名の免罪符を手に入れた“えせ庶民”は大通りを暗躍するという矛盾を謳歌するのだ。これを特権と呼ばずしてなんと言おう!?

と、このあたりで皆様、ちょっとばかり“目で観る演劇”をお楽しみ下さい。

“庶民”と“えせ庶民”は似て非なる者なり

仕事終わりの友人たちが集まり出す夕刻。

いや、もしかすると・・・

その何処にでも有りそうな平凡な味に対して明らかに不相応でありつつも、それなりの定価設定を連想させるに充分な“チープな華麗さ”を見事に具現化した錯覚という名の包装をその身にまとった“ある種のコストパフォーマンス性だけが売りの自称?ケーキ”や、無知を無知として理解・指摘する人間が誰一人存在しないことを幸に、ある種の無法地帯における特権、文化的治外法権の象徴と化した1000円代のワインをわざわざ箱に詰めて持参するという荒技を決めるのか?もしくは90年代のトレンディドラマコンプレックスを見事に表象するに充分な“素足にローファー” “左手に高級ワインのボトル1本”といった出で立ちで、更には右手でポーズを決め込み「やあ!」などと爽やかな笑顔で友人宅を訪れるといった、それはまるで若き日の石田純一を彷彿させるに充分な超荒技を決め込むか? まあ、いずれにしても本来、相当恥ずかしいはずの如何にも我が国らしい“なんちゃって西洋”といった大衆心理、ないしは中流意識の賜物とでもいうべきある種の免罪符を次から次へと加算される税金と引き換えに手に入れた“えせ庶民”という名の特権階級だけに許された “手土産”という名の友達パスポートを持って徐々に集まり出す“憂国”かも知れない。

そんな特権階級(えせ庶民)には、その経済的な余裕の有無(ピンキリ)によってピン子さんは寿司職人やイタリアンのシェフを自宅に招いての宴を催し、キリ子さんは割引サービスチケットの恩恵を極限まで利用するところの湿気を含んだ海苔が痛ましい“なんちゃって海胆軍艦”やイタリアンという名のナポリタン味お惣菜に象徴されるような宅配サービスがよく似合う。

ってな訳で、今回のタイトルにもある“PARTY”と聞いて、こうした輩にとっての“それ”をイメージされると些か都合が悪い。

テーマは“ハレの日”から“日常”へ

むしろテーマは“ハレの日”から“日常”へ。

すなわち、何気ない“日常”を無理くり“ハレの日”に仕立てようなどという企てに一役買おうなどといった考えは毛頭なく、むしろ、何気ない“日常”を僅かに彩る“ほのかに香るエッセンス”について細やかに?語りたいと思う次第である。

いわば“日常”をほんのちょっと豊かにしようとする試みについてのそれである。

そう、確かあれは90年代初頭ぐらいだったろうか? とある夏の日、山手線内で耳にした会話。男子高校生2人組が「おれ、卒業したらすぐ就職して、実家出て〇〇(当時流行していたトレンディドラマの主人公)みたいな部屋に住むんだ〜」などとのたまう。東京タワーを一望できる高層階、安藤忠雄もびっくりなコンクリート打ちっぱなし、しかも少なく見積もっても3LDKはありそうな物件。それを聞いていた私が「そんなもの高卒初任給で住めるか!」などと心の中で叫んだのは言うまでもない(笑)

この手の高校生が素直にそのまま大人になったような御人にとって有益な情報をお届けできる自信は持ち合わせていない。というか、そもそも「お届けしよう」などとは微塵も思わない。

では何故、わざわざこんなことを書いたのか?なのだが、シャンパン、カクテル、マカロン、アペリティフetc.そういったカタカナやケーキスタンドの写真なんかが出てくると、それだけで上記“バブルの負の遺産?”を連想される方も決して少なくないと思われたので、「そうした訳ではないのですよ」とお伝えしたかった次第なのであります、ハイ。

閑話休題。

仏蘭西の冷凍食品

さて、今宵は、肩の力を抜いた状態で必要最小限の人間的な教養と品性を維持しながらも、「ちょっとばかり背伸びがしてみたいなあ〜」などと、気のおけない友人を招いての“細やかなPARTY” という名の“可愛いお洒落”を愉しんでみたいあなた(真の庶民)にピッタリ! そんな“仏蘭西製冷凍食品”をご紹介したいと思います。

先ずはシャンパンやカクテルといったアペリティフに一口サイズのマカロンなんて如何?

しかも冷凍だから解凍すればいつでもOK!

そんな“気軽さ”・・・ これこそ慎ましやかな教養と品性を備えた真の庶民の矜恃とは言えないだろうか? 昨日今日、免罪符の如く“庶民”の称号を手に入れた神をも恐れぬ罰当たり者(えせ庶民)とは似て非なる者の矜恃。

これが「タクシーを呼んで、〇〇(高級デパート)の地下で〇〇(超高級洋菓子メーカー)のマカロンを味違いで100個も用意するだけで良いんですから。簡単でしょ?」とか何一つ疑いのない顔で言われた日には途方に暮れてしまいます。実際、某文化人が書かれた“おもてなし本”に「(ホームパーティーの際には)わざわざクロークを用意する必要はありません。荷物専用の部屋を一部屋用意して、お客様にはそちらに荷物を置いていただけば良いだけですから」といったようなことが書かれておりましたが、荷物を置くだけの部屋を一部屋用意できるお家が都内にどれぐらいあると思ってる?などと唖然とした記憶があります。まあ、我が家に照らして考えるのが適切かどうかは分かりませんが、少なくとも我が家だったらそんな芸当、至難の技でございます、ハイ。

まあ、それはともかく、思いついたら即PARTY!ぐらいの気軽さが欲しいのですよ、私的には。だって、基本、会話を愉しむものでしょ? ホームパーティーって。

大使館にお呼ばれしたとか、または出版記念パーティーであったり、紫綬褒章受賞記念パーティーの類ならいざ知らず、我ら庶民の個人宅で催される、気のおけない友人たちを招いての細やかなパーティーですよ???

何故、ピカールなのか?

ほんの少しいつもと違った風景が目の前に展開されるといったぐらいのイベント性を兼ね備えた冷凍食品ってのが丁度良いと思うのですよ。ただ、冷凍食品とは言っても近所の激安スーパーでお馴染みの唐揚げ、フライドポテト、餃子、チャーハン等を連想されては困ります。それらとは別次元の話であることは言うまでもありません。ただねえ、最近の日本製冷凍食品も結構美味しいんですよねえ。一昔前とはまるで別物・・・まあ、これはこれでいずれ特集してみたいと思います。

さて、それではピカールの優位性とは何か? 少なくとも2024年3月現在の日本においては、まだまだ“いつもと違った風景が目の前に展開されるというイベント性を兼ね備えている”という点ではないだろうか? 

4種類のミニマカロン(チョコレート、カシス、フランボワーズ、レモン)

我が国においても、すでにマカロンが非日常でなくなって久しい。普通に子供でも知っている。だからといって「小腹が減ったらお煎餅の代わりにちゃぶ台の上のマカロンでも食べといて!」といった光景はいまだになかなかお目にかからない。逆に言えば、“日常”にマカロンを取り込む余地は充分に残されており、いわば可能性の段階にあるとも言える。そうした意味で、“ハレの日”から“日常”へという今回のテーマとも合致する訳である。

と、まあ、ちょっと小難しいことを言ってみてはみたものの、個人的な思い出を一つ。

マカロンと言えば、ポール・スミス六本木店のパーティで振舞われたマカロン、あれ、妙に美味しかったなあ・・・人生であんなにマカロンを食べたことはあっただろうか? いいや、多分これからも無いであろう。まあ、こうしたエピソード自体、我ながら“えせ庶民”的感性を疑わせるに充分な響きを持っていたりもするのだが・・・

兎にも角にも私がマカロンを語る際、そうした個人的な経験に基づく個別のイメージと、いわゆるステレオタイプなイメージが統合されることで再構成された私個人が有する“パーティーのイメージ(ないしは世界観)”なるものが前提となってしまうのはどうしても致し方ないことであり、それがパーティーの絵面、ないしはその演出にマカロン、アペリティフをイメージしてしまうという、ある種の“有りがち(凡庸)なイメージ”についてはどうぞお許し頂きたい。

という訳で、今回のマカロンのディスプレイにおいて、何処ぞの小洒落たカフェのアフタヌーンティー・タイム(ランチ)で出てきそうな2段、ないしは3段重の皿にサンドウィッチ、スコーン、プチケーキなどが並んでいるイメージの引用も、もしかすると私の貧困なイメージの為せる技かも知れない。まあ、その辺も併せてお許し頂きたいものです。

でもね、まあ、やはりそれなりの雰囲気は出ますよね?

さて、それはさておき、

「みんなが揃うまでそれでも摘んでて!」と煎餅が差し出されるのと、一口サイズのマカロンが並んでいるのとではどちらがお好みでしょう? 決して正解がある質問ではありませんが、マカロンとお答え(応え)の皆さんにオススメのマカロンが今回ご紹介する『4種類のミニマカロン(チョコレート、カシス、フランボワーズ、レモン)』と言えます。

さて、合わせるシャンパンは? 先ずは肩の力を抜くとしましょう。そもそもいわゆるシャンパンである必要などなく、スパークリングワインで結構です。しかも、某大手宅配酒屋さんが提供するワンコインオーガニックスパークリングワインで充分だと思います。

ちなみに私が合わせたのは『エレノア』の炭酸割(こちらについてはまた別の機会にご紹介します)です。正直、必ずしも相性バッチリと言う訳ではありませんでしたが、レモン味のマカロンとの相性は悪くなかったと思います。それに何よりエレノアが美味しい。まあ、ワンコインスパークリングワインの話をした後にエレノアという10倍程度の金額差がある高級リキュールを持ち出すのは如何なものか?と思われる方もいらっしゃることとは存じますが、要するに、「先ずは在るものと合わせましょう。無ければワンコインでもOKです!」といったお話。

アトランティックサーモンのタルタル>

で、ですねえ、今回私が特にお勧めしたいのが『アトランティックサーモンのタルタル』。これは間違いない! 少なくともサーモン嫌いで無ければ。個人的にはバケットをトーストしてその上に乗せるのがお気に入り。無塩クラッカーにも乗せてみましたが、正直、バケットのトーストが恋しくなりました。ほのかに香るレモン果汁も良い感じです。自然解凍(冷蔵庫の中で4時間)でもお召し上がり頂けます。サーモン好きを公言して憚らない編集部スタッフ某女史は何に乗っけるでもなく、直接サーモンのタルタルを口に運んでおりました。これは個人的にも是非、リピート注文したい一品であります。

ちなみに今回合わせたワインはメドック(フランスの赤ワイン)。ただし、これは別に「メドックに合いますよ」と言っている訳ではありません。本来ならば白ワインあたりをオススメすべきところでしょうが、たまたま白ワインが我が家になかったからという、ただそれだけの理由。これぞ庶民の家呑み作法かと。

“おうち酒場化計画”と言えどもあらゆる種類のアルコール飲料を揃えるなどというのは現実的ではありません。むしろ“有りものと合わせる”を基本とします。

で、赤ワインがたまたま家にあったというか・・・私、メドック好きなんですよ。だから赤ワインといえばとりあえずメドックみたいな(笑)一般的にはステーキ、ハンバーグ等の肉料理に合うとされているようです。まあ、確かに。

タルトソレイユ ペストロッソ>

そして最後は見栄えもバッチリ! 『タルトソレイユ ペストロッソ』の登場です。ヨーロッパ産のバターと小麦粉を使用したパイ生地に、バジルの風味が効いたトマトソースを挟んで焼いたもの。そうか!これ、太陽の形だったんだ。で、最後に真ん中の部分を食べることになると思うのだが・・・良い子の皆さんは既によくお分かりのこととは存じますが、くれぐれも誰が食べるかで喧嘩しないように! 

さて、今回は我が家にあったお酒でマリアージュしてみましたが、本来ならば今回の料理とマリアージュするため、すなわちパーティー用にお酒を一から用意するとするならば、マカロンにはスパークリングワイン、アトランティックサーモンのタルタルには白ワイン、タルトソレイユ ペストロッソには赤ワインなんかが宜しいかと思われます。

ただねえ、スパークリングだ白だ赤だと申しましてもそれぞれ様々なお味が存在しますので、トライアンドエラーを繰り返すほかないというのが正直なところかと思われます。

仮にビール、日本酒、焼酎、ワインと各数十本ずつを常に自宅のセラーに所有しているといった場合であっても、初めて食する料理にどの酒が合うか否かは最終的には試してみるしかない訳で、「やっぱりこっちにしよう!あっちにしよう!」と何本も開けては取っ替え引っ替え、「違うやつも開けてみよう!」なんてした日にゃ「それ全部一人(ないしは少人数)で飲むの?」って話になる訳で(連日、多数の客が出入りする店じゃないんだから!)、時間と共に酸化することも考慮すれば、一度開けたものをそのまま長期間保存しておくのも如何なものかと。すると「なるべくお早めにお召し上がりください」状態になる訳で、そうそう簡単に「やっぱりあっち!やっぱりこっち!」と次々ボトルを開け続ける訳にもいかず・・・結局、行き着く先は経験と論理(とは言え、最後は直感)に基づき絞り込んだ上でのトライアンドエラー(多くの場合は結局「次はこうしてみよう!」)になる訳ですが・・・でも、ちょっとばかり視点を変えてみると、ここにまた家呑みの楽しみがあるとも言えるような気がするのですよ。ね?

ピカール

今回ご紹介したお酒のお供はフランス発の冷凍食品専門店『Picard(ピカール)』の3品。自然解凍やレンジ解凍、オーブン調理で手軽にフランスの味を愉しめます。

・『4種類のミニマカロン(チョコレート、カシス、フランボワーズ、レモン)』(1799円)
・『アトランティックサーモンのタルタル』(2299円)
・『タルトソレイユ ペストロッソ』(1699円)

お近くに取り扱い店舗がない方は、参考リンクより公式通販も可能です。

関口 純/音楽家&劇作・演出家

大衆社会という名の戦場で、その“住処”を鉄壁の要塞と化すことに情熱を注ぎ、かつ、“一人呑み”という名の作戦会議において“食”という名の世界地図を広げることを以ってして戦士の休息とする文士、またある時はミューズの女神に色目をつかいながらもバッカスの宮殿で音楽を奏でる宮廷楽士を下野して地上に舞い降りた吟遊詩人。

芸術を生業とする一家に生まれ、幼少よりピアノ、作曲、演出などを学ぶ。その後、日本テレビ音楽(株)顧問(サウンドプロデューサー&事業開発アドヴァイザー兼任)、楽劇座芸術監督、法政大学地域創造システム研究所特任研究員など。音楽から演劇、果ては研究活動に至るまで「止まれば死ぬ」を人生のコンセプトに“常に”吟遊詩人的人生の真っ最中。

※本文中の価格は希望小売価格・税込みです。

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参考リンク:ピカール
執筆・撮影:関口純
(c)Rrose Sélavy

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